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桜の樹の下にはたくさんの炭水化物が眠っている
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駅のホームから見下ろせる位置にある小さな駐輪場に桜が咲いていた。徐々に色づき始めた桜の枝葉は、すき間無く並んだ自転車までも仄かなピンク色に染めあげていくようで、その全てが暖かな陽射しに優しく照らされている。

就職活動中だろうか、真新しいリクルートスーツに身を包んだ女性が自分の自転車を取りにやって来た。しかし彼女の自転車は列の奥の方へと押し込まれており、遠目に見ても引き出すのは困難に思えた。案の定、なかなか出せずに苦戦している。

ルールに従って並べたはずの自転車も、知らぬ間に複雑で乱雑な集合体へと放り込まれている。まるで彼女がこれから挑もうとしている社会の縮図じゃないか。負けるな、手を伸ばせ、自分の自転車を取り戻すんだ。気づけば彼女を応援していた。

周りの自転車数台を移動させて引き出そうとしているがやはり簡単にはいかないようで、彼女は肩からかけたバッグを横の自転車に置いて中をガサゴソとやり始めた。ハンカチで汗を拭うのだろうか?携帯で助けを呼ぶのだろうか?

パンだった。

彼女はバッグからパンを取り出すとその場でパクパクと食べ始めたのだ。

まさかの光景に混乱しつつ、やってきた電車に乗り込む。窓から覗いてみると、彼女はパンを食べながら咲き始めたばかりの桜を気持ち良さそうに見上げていた。
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by erenoa70 | 2008-03-26 23:41 | Stupid