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夢うつつ 朝焼けゆれる 葡萄かな 
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まばゆい朝日に照らされた中央線はガラガラに空いていて、私は余裕を持って座席に腰かける事が出来た。早朝の電車に乗っている人というのはたいてい静かに寝ているか本を読んでいるもので、爽やかだけど気だるいようなこの雰囲気は嫌いではない。

隣のサラリーマンは腕を組んでじっと目を閉じているし、そのまた隣の中学生は教科書だか参考書だかを開いている。そしてちょうど真向かいの席には足を前に投げ出して熟睡している若者がいた。夜遊び明けで泥酔しているのか、顔は赤らんだまま口を半開きにして寝息をたてている。

その若者の膝の上にはビニール袋が置かれていたのだが、足を開いているものだから今にも膝の間から転げ落ちそうになっている。あぁ落ちそうだな、というか落ちるなと思ったら、ビニール袋は若者の足下へボトリと転げ落ち、中から一房のブドウが顔を出した。若者はまだ熟睡したままなのでその隣に座っていたお婆さんが落ちたブドウを拾ってビニール袋に入れ、若者の膝にポンと戻した。

しかし、そのポンと戻した瞬間に袋の中のブドウが一粒だけ転げ落ち、電車の揺れも相まってコロコロと車両を転げ始めてしまった。お婆さんは一瞬「ヤベエ」という顔をしたものの、即座に気づかなかったフリをした。

車内を右へ左へと転がる紫色のブドウを眺めていると、何だか一句詠めそうな気もしてきたが、すぐに考えるのを止めて気づかないフリをした。
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by erenoa70 | 2008-08-19 08:31 | Stupid