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「グラン・トリノ」を観ましたよ
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「グラン・トリノ」を観ましたよ。

若い世代へ自分の生き方を継承していくという図式は「センチメンタル・アドベンチャー」や「許されざる者」を例に出すまでもなくイーストウッドの十八番みたいなものだし、今年78歳を迎えるベテラン俳優に求められるのはどの映画であってもそうした役割なのだと思う。しかしこの「グラン・トリノ」はそれら全てにとどめを差す大傑作だったわけです。

隣に越してきたアジア人一家を「米食い虫のイエロー」と罵り、黒人チンピラを「クロ野郎」と挑発して教会の若い神父は童貞呼ばわり。自分の息子や孫は完全に見下していて、少しでも気にくわない事があれば「グルゥゥゥ」と唸ってはブチ切れる。そんな差別主義者の偏屈なクソジジイが今回のイーストウッドの役回り。

しかし、そんなクソジジイを(けっこう始まってすぐに)愛おしく感じ、俺も年を取ったらこんなクソジジイになりてえ!とまで思わせるのはイーストウッドがこれまでに築いてきたパブリックイメージによる所が大きい。どんな困難にも臆することなく、必要ならば力で抵抗する。決して群れる事はないが気のきいたユーモアも忘れず、酒とタバコ、犬と女をこよなく愛す。要は昔ながらのタフガイである。

そのタフガイっぷりを還元する相手が今回はチャーリー・シーンとかじゃなくて、アジアのトロ助(命名・戸田奈津子)というのが映画の肝。いわずもがな、黒人大統領が誕生した現在にあってはこれが圧倒的な説得力を持ってくる。クライマックスには限界まで心が熱くなるし、ラストに至っては(これで俳優を引退すると宣言した)イーストウッド自身と、今後の世界のありようまで重なって見えてしまい、ただただ男泣きするしかなかった。

"威厳"という言葉さえ軽々しく感じるこの映画を超えるには、イーストウッドと同じくらいのキャリアと、それに見合う風格と面構えを持った俳優が出てくるのを待つしか無いような気がする。

映画館を出て駅まで向かう帰り道、イーストウッドと息子が作った主題歌「グラン・トリノ」を口ずさんでみた(うろ覚えで)。
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by erenoa70 | 2009-04-30 22:43 | Movie