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「ウォッチメン」を観ましたよ
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待ちに待った「ウォッチメン」を観ましたよ。

いつも配給会社に対して、もっと上手くアメコミを宣伝する努力をしろよ!と上から目線で言ってる俺ですが、今回の「ウォッチメン」に関してはちょっとだけ同情する。知名度が低いだけならまだしも、この複雑な内容のアメコミ映画を日本でどう宣伝したらいいのか検討もつかない。

もし現実にヒーローがいたら?というのが「ウォッチメン」の世界観である。ベトナム戦争に勝利したニクソン大統領の発令によりヒーローの自警活動は禁止され、行き過ぎた発言や突飛な行動を取れば精神病院へ送られる。ヒーローは世襲制で受け継がれていくが、こんなご時世だからおとなしく余生を過ごすしかない。食事する時にはマスクをズラすし、派手な衣装を脱いでセックスもする。あぁ、それにしても年を取った。今は孤独だけが怖いんだ・・・

という思わず泣けてくる状況の中で立ち上がるヒーロー達に待ちうけているのは強烈な自己矛盾である。アメコミヒーロー物でそういったテーマは別に珍しくもないわけですが、「ウォッチメン」はよりアンチな立ち位置から描いてるのでレベルが違う。そうした高い壁を乗り超えて「でも、やるんだよ!」精神(根本敬)で意思を貫くヒーローとかってやっぱりカッコよすぎだろ!

「でも、やるんだよ!」精神だったのは監督のザック・スナイダーも同じで、天文学的な情報量を持つ原作を前にして、絵面だけじゃなくてインクの匂いまで再現するぜ!とでも言いたげな気合いの入り方でやってのけたから恐れ入る(たとえそれが原作の一部しか再現出来なかったとしても!)。そして必要以上にしつこいセックスと暴力描写を見るにつけ、やはりこの男は信用するに足ると再確認したのであった。

オープニングタイトルはボブ・ディランの「時代は変る」で幕を開け、エンドクレジットは同じくディラン「廃墟の街」のマイ・ケミカル・ロマンスカバーで締めるというポップセンスもさすが。宣伝はこの辺にピンとくるようなオッサンを狙い撃ちした方が良かったかも知れない。
by erenoa70 | 2009-03-29 23:15 | Movie